第16回 労働教育が質量ともに拡大―「生産性労働大学」講座開設

連載「JPC 70th クロニクル」⑯ 労働教育が質量ともに拡大―「生産性労働大学」講座開設

労働教育を体系的に展開

「生産性労働大学」で講演する東京大学総長の大河内一男氏(1965年2月)。

日本生産性本部は1960年4月、労働関係教育専門委員会を設置した(委員長は中央労働委員会会長の藤林敬三)。その目的は2つ。1つは労働教育について全般的な企画を立てること。もう1つはカリキュラムを編成することだ。
59年度に生産性労働講座や労使関係生産性夏期講座、全国労働組合生産性セミナー、労組幹部秋期講座といった一連の労組幹部対象の講座を開催。その経験で、労働教育を一定のカリキュラムのもと、体系的に展開する必要性を痛感したからだった。
短期労働大学の構想は委員会の検討を経て、60年5月末に初めて実施。この「生産性労働大学」講座は富士山麓・御殿場の国立中央青年の家を会場に6日間、合宿形式で行われた(全国から組合幹部65人参加)。

近代的な労使関係の確立

午前6時起床。昼は学習、夜は学習内容を討論し、1日のまとめ。最終日にはレポート提出が課せられた。
研修課題は近代経営管理論、財務諸表分析、作業研究、職務分析の方法と職務評価制度、生産性向上と成果配分方式、賃金体系と職務給、団体交渉と労使協議制の技術など。
「近代的な労使関係の確立には、労使の代表が対等な立場にたって話し合うことが必要である。それには組合幹部が近代経営についての基本的知識を身につけ、財務諸表を読みこなすくらいの能力はもたなければならない。」(『生産性運動10年の歩み』)
労働大学は61年度から本格化。御殿場講座は全国労働組合幹部教育コースと呼ばれ、これとは別に全国労働組合幹部専門教育、労働組合専従書記、産業別労働組合幹部教育、地域別労働組合幹部教育の4コースを新設。61年6月に生産性労働大学通信講座開設、64年6月には同大学に夜間の労組幹部長期コース(後の「労働アカデミー」)開設と年々、労働教育は質量ともに拡大していった。(文中・敬称略)

【参考文献】『生産性運動10年の歩み』(日本生産性本部、1965年)

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